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  ■調剤FMEAの実施結果
 本研究では、作成した調剤FMEAが実際に自動化として確立しているかどうか、また実際に役に立ちそうかを確認するために薬剤師に対して調剤FMEAの実施を試みた。調剤FMEAは全部で13の作業工程を用意してあるが、その中から薬剤師に1つ作業工程を選んでいただいて実施した。そして、調剤FMEA実施後は薬剤師に調剤FMEAに関するアンケート調査を行った。
調剤FMEA実施結果の詳細は以下に示す。
●実施日     :2007年2月4日
●実施者     :薬局勤務3年目の薬剤師
●実施した作業工程:計数調剤(錠剤)
●所要時間    :23分


調剤FMEA実施結果(クリックで拡大)
 実施結果から、重要度が今回実施した中で最も高い80となった エラーは以下のようになる。

サブプロセス:薬品棚から薬品を取り出す
薬品の中に一部別の規格の薬品が混ざっていたことに気付かずに取り出 す
サブプロセス:薬品を確認する
取り出した医薬品の中に一部別の規格が混ざっていたことに気付かな い
余った医薬品を別の薬品棚に戻 す
余った医薬品を規格が異なった場所に戻 す

 
これらのエラーは他のエラーに比べ、重点的に対策を講じなければならないことがわかる。

 また、重要度が25以下のエラーは以下のようになる。

サブプロセス: 薬品を探す
すでに取り出した医薬品を再び探 す

 このエラーは、重要度が24と低いので他のエラーの対策を優先するべきであることがわかった。

さらに、全体的にみると「サブプロセス:鑑査台に置く」における各エラーの重要度は36と45であるので、他のサブプロセスに比べて重大な調剤事故に繋がる可能性は低いことがわかる。逆に「サブプロセス:薬品を確認する」における エラーの重要度は60以上がほとんどを占めているので、重大な調剤事故に繋がる可能性は否定できない。よって、重要度が高いエラーに対する対策を講じると同時に、薬品を確認する際の対策案も考えておくとよいことがいえる。

さらに、調剤FMEA実施後に薬剤師にアンケート調査を行った。
 
■調剤FMEA実施後のアンケート結果
 
Q:調剤FMEAを行って、どこの部分にどの程度の時間がかかりましたか
影響評価の仕方が書いてあるシート(EXCELシート)を毎回確認するのに時間がかかった
特に検知難易度を決めるときに考える時間がかかった
同じような文章のため、どのサブプロセスをやっているのかがわからなくなり、その確認に多少時間がかかった
 
Q:調剤FMEAのどこの部分をどの程度手直しを行いましたか
発生頻度の幾つかは予め記入されていたが手直しを行った。また、影響度はまったく手直しをしていない
 
Q:調剤FMEAのどういった所が役に立つと思いましたか
・発生頻度が予め記入してあったので参考になった
・エラーや最悪の影響が予め記入してあったので自分で考える手間がかからない
・重要度が数字で出るので、どれが重要なのかがわかりやすい
・実際に自分がミスをする前に対策しなくちゃいけないところがわかった
・自分の薬局以外の対策案が知れたので役に立った
 
Q:調剤FMEAのどういった所を改善したほうがよいと思いますか
・最初、空欄だけに数字を入れるのかと思って戸惑ってしまったのでわかるように説明がほしい
・別のシートでいちいち影響評価の仕方を見るのが面倒なので、紙としてほしい
・似たような文章が多いし、文字が多いので目がチカチカしてしまう。図や写真を入れてほしい
 
Q:調剤FMEAを使ってみたいと思いますか、その理由もお聞かせ下さい
使ってみたいと思う。自分が気を付けなければいけないところがわかるから。薬局では個人が重要になるので知っているのと知っていないのとでは大きく違うと思う。ただし、同じ事を繰り返すと飽きてしまうので、楽しめるようなものだとなお良い
 
Q:調剤FMEAを行った全体的な感想をお聞かせください
・意外に時間がかかったので、白紙のFMEA(普通のFMEA)はやりたくない
・FMEAがどういうものなのか何となくだけれどわかった
 


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