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  ■はじめに
 近年、医薬分業の進展に伴い、調剤薬局における調剤事故が増加の傾向にある。平成14年度には、薬局での事故として初めて患者が死亡するという事故も発生している。これらの事故の背景には様々な要因が複雑に絡み合っているが、自動化がすすんでいない現状では、薬剤師のヒューマンエラーがその原因となっている場合が少なくない。調剤事故を減らすために、ヒューマンエラーの発生を未然に防止することが強く求められている。

参考資料:保険薬局における調剤事故防止対策に関する研究 井上章治
  一度発生してしまった調剤事故が二度と起こらないように再発防止を試みることは大切である。しかし、ヒューマンエラーに起因する調剤事故を防ぐためには未然防止が求められている。 なぜなら、調剤業務の中に潜む調剤ミスの可能性は無数に存在し、調剤事故として発生したものだけに焦点を当てて対策を講じても土竜たたきにしかならず、限定的な 効果しか得られないからである。事故につながった調剤ミスのみに注目しすぎるのでなく、他の膨大な数の調剤ミスについても調剤事故に繋がる可能があること に気付くことが大切である。多くの組織が再発防止に対して力を入れているが、重要なことは、たとえ現段階で調剤事故に結びついていない調剤ミスであったとしても、 それらをすべて洗い出し、調剤事故に繋がる可能性があるかどうかを見極めることである。そして、危険性の高い調剤ミスに対しては予め対策を講じておくことである。
 このような未然防止の取り組みを行うためのツールとしては様々なものが提案されているが、本研究では信頼性工学の分野でよく用いられているFMEAに注目した。しかし、薬剤師はFMEAに関する知識・経験ともにほとんど持ち合わせていないのが現状である。そこで本研究では、FMEAの専門知識を持ち合わせていない薬剤師にでも容易にかつ効率よく扱えるよう な支援システムの開発を行った。これを調剤FMEAと呼んでいる。


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