産業キャリア教育プログラム~授業紹介~
トップ> 産業キャリア教育プログラム~授業紹介~> 【技術論1】日本IBM 第3回「技術を生かす!Ⅱ」
インターネット白書による近年のインターネットの普及や状況の説明していただき、その中で、ティム・オライリーの紹介とWeb2.0について話してくれました。
1.プラットフォームとしてのWeb
これはWeb2.0は戦略的アプローチ、マインドセット、技術等のミームを包括した概念で、オライリーは例えとしてネスケ対グーグル、DoubleClick対Overture/Adsense、Akamai対BitTorrent等の新旧比較から「データ管理」や「ロングテール対応」と言ったシームレスなプラットフォーム時代のプレイヤーを引き出しています。
2.集合知の利用
Wikipedia、フォークソノミー(ソーシャルタギング)等や、「eBayの商品はユーザー活動そのもの」という指摘もあります。
ユーザーの力を利用するだけでなく、有機的に成長する参加のアーキテクチャを構築することがポイントです。
3.データは次世代のインテル・インサイド
Web2.0ではサービスの核となるデータを所有することが必要であり、位置情報、個人情報、スケジュール、製品情報といった、作成に多額の資金が必要なデータの数少ない供給源になることができれば、「インテル・インサイド型」のビジネスモデルを展開できます。
4.ソフトウェアリリースサイクルの終焉
Web2.0時代のソフトウェアの特徴は、それがサービスとして提供されることであり、ユーザーの動向を見てすばやい修正・機能追加等を行うこと「永久のβ版」が重要なコンピタンスになることです。Agile型なソフトウェア開発もキーとなります。
5.軽量なプログラミングモデル
たとえば、Amazonが提供するWebサービスはその単純さからSOAPではなくRESTインターフェースが圧倒的に支持をうけており、この例からもわかるように、「システムを疎結合する」、「橋渡し徹する(end-of-endの原則)」、「Hackable(ハッキング可能)、Remixable(リミックス可能)にする」という原則に従うことで、ユーザー参加を促し、機能追加を容易にし、組み合わせによる革新を起こしやすくすることです。
6.単一デバイスの枠を超えたソフトウェア
iTunesとTiVoを例に、PCプラットフォームを超えた実用性を提供することで、大きな利益を得ることができる可能性があります。
7.リッチなユーザー経験
Gmail、GoogleMapsが提示したリッチユーザーインターフェース、OSに匹敵するインタラクティブ性の実現にはAdaptive Pathが命名したことで爆発的に普及したAjaxが大きな役割を果たしています。この潮流によって誰も見たことがないWebアプリケーションが登場し、Webを席巻するだろうと予見されています。
コミュニティベースでユーザー参加型へ
Ajaxやマッシュアップによる新しいビジネスモデルの誕生や、デスクトップアプリケーションと変わらないWebアプリケーションが登場しています。
要素技術として、Ajax、タギング、タグクラウド、ブログ、Wiki、RSS、SNS、ソーシャルブックマークなどをご紹介いただきました。
また、仕事を進める上で、しばしばフォーマルな組織構造よりも、友人や同僚を中心とした人脈に依存することも多くあります。そうした「人との繋がり」を重視し、IBMでは個人を中心としたコミュニティ型のコラボレーションを活用する仕組みなどもあるそうです。
IBM社内では、日本IBMだけでなく、World Wideで共通のツールとして利用できるSNSや、役員・技術顧問・コミュニティが情報発信し、情報の共有、集合知の利用等、効果的なナレッジマネジメントを行えるツール、「人との繋がり」を分析・視覚化するツールなどがあり、Blog、Wiki、SNSなどを活用しているそうです。そうしたツールを利用しながら、組織型から人中心へ、個人から人との繋がりへ、情報を軸としたコミュニティを形成できるようになっているとのことでした。
講義の最後に自己紹介と、受講生へのアドバイスがありました。行木陽子さんは、会社に入ってから修士課程へ進学し、音声認識の研究を行ったそうです。現在は、中学3年の息子さんを育てながら働くワーキングマザーです。
最後に、行木さんからのアドバイスとして、
「やりたいと思った時が皆さんの適齢期です。」
「回り道をしてもいいので、自分の目的を見つけましょう。」
という言葉をいただきました。
(2008.6.12 担当I)