経営システム工学科とは?

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学科主任からのメッセージ


経営システム工学科 学科主任
長塚 豪己

中央大学理工学部経営システム工学科は、1962年に管理工学科として設置され、1999年に現在の学科名に名称変更しました。

経営システム工学は、そもそもは製品の生産において、品質、原価、生産性の最適化を目的にして、人、機械、作業等の諸要素を管理するという学問で、産業革命以降、企業経営における生産部門の効率化の一役を担ってきました。しかし、今日ではこのような枠組みを打ち破って、ソフトウェアやサービスを含めた多様な商品をその対象とするとともに、企画から、設計・開発、生産、販売までの企業の全部門に渡る活動を取り扱うようになりました。また、国際取引のグローバル化にともなって、最終顧客を起点とする、多数の企業に跨がるサプライチェーン全体を扱うようになりました。また、社会との関係において果たさなければならない役割・責任も重要になっています。このような中、広い適用範囲を持つ、科学的理論と実戦的技術を統合した学問に発展してきました。

「経営システム工学」を理解するには、「経営」「システム」「工学」という3つのキーワードに分けて考えるのがよいと思います。

企業の目的はお金儲けではありません。その存在価値は、提供する製品・サービスを購入、利用してくれる顧客がいて初めて生まれます。「経営」とは、ニーズとシーズ、すなわち必要性と技術を結びつけて顧客や社会にとっての新たな価値を創造することです。このためには、顧客がどのような製品・サービスを望んでいるかを的確に把握し、そのニーズを満たすような製品・サービスを生み出すための技術革新、イノベーションを行うことが必要です。

製品・サービスを実現するのには多くの技術や人が関わります。一つひとつの要素技術、一人ひとりがどれだけにしっかりしていてもそれらが有機的にかみあっていなければ、多くの問題が発生します。「システム」とは、特定の目的のために、複数の相互に関連する要素がつながったものです。目的・ねらいを明確にし、これを効果的・効率的に達成するために電気、機械、化学、情報などの要素技術、異なる能力を持った人々を結び付け、その力を最大限に引き出すには、あらゆるものごとをシステムとして捉えることが大切です。

最後のキーワードは「工学」です。これは一言でいえば、科学を産業や社会に役立てる方法論です。簡単な問題なら感や経験に頼って解決したり、その場の度胸でやり過ごすこともできるかもしれませんが、複雑な問題になるとこのようなやりかたでは試行錯誤を繰り返したり、致命的な失敗につながることになりかねません。データ・事実を計画的に収集し、適切な定量的・統計的手法を用いてその背後にある規則性を見出し、得られた関係をもとにオペレーションズ・リサーチなどの手法を用いて最適化を行うこと、必要に応じて情報技術を縦横無尽に活用することが大切です。

経営システム工学科のカリキュラムは、経営システム工学を、「経営工学」「数理システム工学」「応用情報システム」という3つの柱に沿って体系的に学べるよう構成されています。国による技術者の資格認定制度である「技術士」、ICT企業やSI企業で必須の「情報処理技術者」、保険や年金の数理専門家である「アクチュアリー」、統計に関する知識や活用力を評価する「統計検定」などと大変親和性が高く、これらの資格取得を目指す学生も多く在籍します。

現在の社会は、変化の激しさを増し、ますます複雑なものになってきています。「経営システム工学」が果たさなければならない役割はますます大きくなりつつあります。数多くの優秀な学生が「経営システム工学科」の門をたたき、より大きな変革を生み出す力になることを期待しています。

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