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【技術論2】凸版印刷 第4回「アイカメラを使った販促ツールの効果検証」

講師:凸版印刷株式会社 大谷智子氏

第4回講師は、大谷智子さん(消費行動研究室)です。

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消費行動研究室は、凸版印刷(株)トッパンアイデアセンターのマーケティングリサーチ部門であり、営業・企画部門と連携してお客様のトータルコミュニケーションをサポートしているそうです。具体的な活動は図のとおりだそうです。ニュースサイトでよく見かけるCRM(Customer Relationship Management)といった内容と近いのではないでしょうか。

【参考】凸版印刷消費行動研究室

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■第4回講義 「アイカメラを使った販促ツールの効果検証」

凸版印刷の4回目は「アイカメラを使った販促ツールの効果検証 ~お客様に響く効果的な販促ツールとは~」です。

講義では次の4点について話して頂きました。
 1. 効果測定
 2. 誌面評価
 3. アイカメラを使った販促物の評価
 4. 「視る」こと


■効果測定

まず、効果測定について話して頂きました。
凸版印刷の効果測定では、単純に売上があがったどうかだけではなく、「販促物において、売上が悪かったとき、どこに原因あるか、どこに改善ポイントがあるかを知り、次に活かしていく」ことを目的にしているそうです。

販促活動(POP、プロモーション、など)の消費者に与える効果は、以下の2点を抑えて評価するそうです。
 ・到達力評価:どれだけ多くの消費者に到達したか?
 ・販促事態の訴求力評価(クリエイティブ評価):どれだけ消費者の態度・行動を変えることができたか?

このとき、指標を何にするかが効果測定において重要だそうです。
指標は、その目的や測定したい要素に合せて変える必要がある一方で、繰り返し行う際には同じ指標で検証しなければ対象を比較できないそうです。比較できないのでは、プロモーションや製作物の問題点・改善点が明確にならず、情報の共有もできません。

実際に販促では以下のような指標を用いているそうです。

・到達力評価
 媒体到達率、広告認識率、閲読率、ブランド認知度、アクション率、購買率、etc

・販促事態の訴求力評価(クリエイティブ評価)
 視覚・認知面からの評価:視認性、可読性、識別性、誘目性
 態度変容面からの評価:記憶度、理解度、好感度、情報誘導度

みなさんは、このような効果測定方法で十分だと思いますか?新しい技術の開発、私たちの生活変化と共に、適切な効果測定方法は変わっていくものだと思います。また、私たちが広告によって起こす、実際に起こすアクションを捉えるだけではなく、どう考えが変わっているのかを捉える必要があると思います。

効果測定、プロモーションデザインにおいて必要とされる知識として以下のものが必要とされるそうです。青い方が理工系の学生さんの強みの部分ですね。

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■誌面評価

効果測定の例として、誌面改善ソリューションのプロセスを話して頂きました。実際の改善結果も見せて頂き分かりやすかったと思います。
PDCAの管理・マネージメントサイクルは至るところでみかける重要概念ですね。理解はし易いけれど、実践することが困難なことだと思います。ダイエットや学習などの自己管理にも役立つので、試してみることをオススメします。
また、このPDCAサイクルからも、マーケティングリサーチ部門・営業部門・企画部門の連携なしにはうまく行かないことも見て取れると思います。


■アイカメラを使った販促物の評価

効果測定の2つ目の例として、アイカメラを使った販促物の評価について話して頂きました。

アイカメラを用いて視線を捉えるアイトラッキング手法を活用し、販促物の評価に利用しているそうです。「目は口ほどにものを言う」という言葉がありますね。
InsightViewer」というサービスとして、実際に取り組まれているそうです。

実際に、アイトラッキング調査には大きく2つの特徴があり、効果測定に有用だそうです。

●視線の可視化
 ・視線を数量化し、目に見える形に再現(可視化)することで、関係者で共有化できる。
 ・アンケートによる消費者の主観的な評価だけではなく、アイカメラのよる客観的な評価が行え、あわせることで信頼性の高い評価が行える。

●記憶の再生効果
 ・事後ヒアリング調査時に、消費者に撮った視線を見せることで、購買時点の行動や意識についての情報を飛躍的に多く聞き出せる。

アイトラッキングは、既に様々な企業に利用されており、ヤフー、イーベイ、マイクロソフトなどが早くから導入していたそうです。目で見られるものは何でも測定出来たため、以下のような様々なものに利用されているそうです。
 ・印刷記事:雑誌、新聞、ポスター
 ・パッケージ:商品パッケージデザイン
 ・ブランド:ロゴ、タッグ、総合イメージ
 ・ウェブサイト
 ・ウェブナビ(例:注文の流れ)
 ・CM

 【参考】J-Marketing.net 「見えないニーズを捉える方法」

日々、アイカメラのような技術やツールが研究・開発・公開されています。自分のやろうとしていることに利用できるものがあるかどうか、展示会などに行き聞き込み・調査することも目標達成には欠かせないことだと思います。


■InsightViewer 事例紹介

「InsightViewer」の事例として、「POPの効果測定」「売り場でのお客様の行動と視線の分析」について、お話して頂きました。
調査計画を決め、調査をし、結果を解析するうえでの、流れや重要ポイントについて理解できたのではないでしょうか。人に調査の成果を信用してもらうためのノウハウがたくさん詰まっていたと思います、実際に調査する立場になったとき思い出すことをオススメします。
調査結果から分かった、お客さんと店の認識の違いも、大変面白いものでした。


■「視る」こと

情報の7割は視覚から得ていると言われています。この視覚について、生理学的にどのような特徴があるのかについても話して頂きました。
このような基礎知識があって初めて、アイトラッキングを使った手法を開発でき、それを利用してデータを分析、うまく考察できることを忘れてはいけません。

(2008.7.22 担当:北川)

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